VSL協会「技術講演会」を開催

革新的な設計・施工・維持管理技術を紹介

VSL協会(東京都新宿区、田中茂義会長)は10日、東京都新宿区の大成建設本社大ホールで、ガンツ・ハンス・ルドルフ博士やVSLインターナショナルの技術者などを講師に「技術講演会」を開催。130人を超える官民の技術者が参加し、立ち見が出るほどの盛況だった。複数講師が国外橋梁の大規模更新・修繕工事を写真と動画で紹介した際、その合理的かつ大規模な事例に、聴衆から思わず感嘆する声が出る場面もあった。

田中会長は、VSL工法を日本国内に導入して本年で半世紀を迎えたことなどに触れたうえで、「本工法は単にプレストレスト定着工法だけではなく、PC構造物の設計・施工・維持管理に至るまで革新的技術として世界に幅広く技術提供している。本日はその一端を発表していただく」と挨拶した。

ガンツ博士は、新名神・生野大橋で国内初採用された斜張橋用ステイケーブルのVSL・SSI2000e定着具や同サドルに言及。耐震性が不足したニュージーランドのニューマーケット高架橋で、全施工段階において通行止めなしでの橋梁上部構造の解体・撤去、新設事例を講演した。

ウォンク・エド氏は、鋼橋の補修事例としてカナダのアンガスLマクドナルド橋(吊橋)での床版取替事例を報告。シュワルツ・アンドレアス氏は、緊張材の補修例のうち英国エグゼ高架橋でのポストテンション追加による耐久性向上事例を紹介。ハレ・ローナン氏は豪州でのプレキャストセグメント工法を発表した。

 VSL・JAPAN中原二郎社長「日本の未来のために老朽化した橋梁など構造物を若返らせる必要性を改めて感じた」

東京工業大学の二羽淳一郎教授は「PC橋をめぐる最近のトピックス」と題して講演。マルヌ5橋に始まるPCプレキャスト技術の歴史、現在に至る国内外での適用事例を概説し、「プレキャスト技術はコンクリート構造物の質の向上に役立ち、良質な社会インフラ整備に寄与できる」と話した。

VSLインターナショナルのモンドン・ジーンイブ最高執行責任者は「当社技術の最新情報を皆さんと共有しながら、日本のために更に貢献したい」とし、VSL・JAPANの中原二郎社長は「日本の未来のために老朽化した橋梁など構造物を若返らせる必要性を改めて感じた」として、参加者・講師に謝意を述べた。

VSL協会 「会員相互の協力により、VSL工法およびVSLアンカー工法の普及、技術向上および新分野の開発をはかり、もってプレストレストコンクリート事業の発展に寄与する」(同協会HP)ことを目的としている。会長は大成建設取締役副社長執行役員の田中茂義・ 土木本部長、副会長は川田建設の川田琢哉・代表取締役社長が務めている。幹事会社はブイ・エス・エル・ジャパン(中原二郎社長)で、 協会事務局も同社(東京都新宿区西新宿3-2-26 立花新宿ビル5F)に置いている。同社は「日本におけるVSL工法の独占的実施権を有し、国内でのVSL工法の統括管理、普及拡大を主たる目的」(同社HP)とし、「複雑なせん断補強鉄筋と柱梁接合部の主筋定着部の組立作業能率を大幅にアップする『ヘッドバー』、既設RC構造物の画期的耐震補強工法である『ポストヘッドバー』、鋼材に匹敵する強度を有する超高強度繊維補強コンクリート『ダクタル』を用いたPC技術など、次世代の社会資本整備に大きく貢献する技術、材料を提供している」(同)。

VSL工法 スイスのロージンガー社の開発によるもので、わが国には1968年に技術導入されて以来約45年の歴史を持ち、PC鋼より線を用いるポストテンション工法、アンカー工法、リフティング工法、圧入ケーソン工法として、その安全性、経済性が高く評価されている。 現在、世界の主要35カ国余の現地法人を中心に、PC橋梁、PCタンク、大スパン建築物、グラウンドアンカー等各種の土木建築構造物や原子力施設などに適用されているPC技術の代表的工法である(ブイ・エス・エル・ジャパンHPによる)。