挑戦者たち エポガードシステム 「講師のための講習会」初開催

エポガードシステム工法(NETIS登録番号CB-080017-VR)が世に出て十数年、NETISを取得して丸10年が経過した。今年3月現在で、橋梁への適用実績が1300件を超えている。「優れた商品だ」「本当に効果があるのか」など様々な見方がある中で、なぜ、これほどまでに実績を重ねてきたのか。当然、汎用性の高い製品だったことが実績拡大に直結したわけだが、もう1つの要因として施工前に技術講習会を義務付けてきたことが大きい。4月には初めて「講師のための講習会」が開催された。

「適切な施工のための講習」

「試験問題に出てくる溶存酸素、溶存イオンという言葉を塗装業者がどう捉えるか。小難しいと感じて、工法そのものに好感を持たれないだろうな」

「講師が知っていることを単に偉そうに話していたら嫌がられる。赤ちゃん言葉でも良いから、適切な施工をしてもらうという目的を達成するための講習であり、そのための講師であることを忘れてはいけない」

「受講者が眠くならないよう、分かりやすく面白い話をしないと聞いてくれないからね」

4月14日、三重県松阪市にあるエコクリーン本社2階で、座卓を囲んで真剣な議論が続いていた。講習会で使用している配布資料の語句、試験問題の用語などを1つひとつ再点検していく。

講師講習会で試験問題などを協議した(左から)福岡誠二さん、山本崇史さん、安本敬一さん、細渕利明社長、谷岡恭子さん、岡村博之さん、佐藤英樹さん、細渕太志さん

参加者は、エコクリーンの細渕利明社長(59)、谷岡恭子部長(44)、福岡誠一課長(30)、細渕太志主任(27)のほか、講習会で講師を務める山本崇史・大進産業(栃木県宇都宮市)社長(50)、安本敬一・EARTH CREATE(宮城県仙台市青葉区)社長(50)、佐藤英樹・ACE ACT(三重県いなべ市)社長(43)、岡村博之・シンエイ(熊本県八代市)常務(40)の計8人。

講習会の内容を統一することなどを目的にした「講師のための講習会」である。8人は朝9時~夕方5時まで、断続的に意見を交わした。実際に電動工具を用いて、素地調整程度3種とはどういう状態か、という見解も統一した。

エポガードシステムと、その発展形のサビバリヤー(NETIS登録CB-170003-A)は、鋼構造物の長寿命化を図る下地処理技術で、鋼材に発生したヘマタイト(赤さび)をマグネタイト(黒さび)に転換する。2006年に国道1号袋井バイパスの高架橋で採用されてから12年が経過した。

ニーズ高まり講師拡充 有資格者が千人超に

「何で、わざわざ、こんな材料を使わないといけないんだ」「お金がかかる講習会など不要だ」

     工法が出始めた当初、細渕社長(写真左)は施工業者から、そんな罵声を浴びせられたという。それでも繰り返し工法の特徴、施工方法を

説明し、自ら施工例を示した。講習会は9年前から開催し、日本全国、どんな所にも飛んで行った。今日まで有資格者は1300人を超えている。

エコクリーンは、工法を施工する場合、1回5時間の技術講習会の受講を必須条件としている。さらに、1工事で3人のうち1人の割合で有資格者(受講済者)を必ず配置するよう義務付けた。

講習会の参加者には、防食全般に関する理論と動向、エポガードシステムの性質や施工法などを座学と実践で学んでもらい、その確認として筆記試験を課している。100点満点で70点未満の場合、再試験を受けなければ資格が付与されない。

講習会費は、受講者1人あたり3万5千円(税別)で、5人以上集まれば、講師の交通費を全国どこでもエコクリーンが負担する形で行ってきた。細渕社長は1人で通算300回以上の講習会を開いている。

近年、さらなるニーズの高まりを受け、社長以外にも5年前から岡村さん・佐藤さん・安本さん、3年前からは山本さんも講師となって、講習会を運営してきた。4月から福岡さんも加わる。

今回の「講師のための講習会」については、「各々の講師が行っていたことを細かいところまで統一できたことは評価できる」(佐藤さん)、「5人の知恵、経験を加味した案になった」(安本さん)「発注者にも説明用資料として配布できる良い出来映えだ」(山本さん)などと、講師陣からも好評だった。

より一層、喜ばれる工法に育てよう

講習会の最後、細渕社長はこう話した。

「エポガードシステムという工法を通じて、一般の塗装のあり方を認識してもらうことで徳を売る。正しい施工法を共有することで品質的なエラーがなくなり、世の中に貢献できる。当社、代理店、施工者が正当な利益を得た上で、発注者はじめ多くの方から喜ばれる。より一層、そんな工法に育てていこうよ」

聞き入っていた7人は、一様に顔を上げてうなずいた。

※橋梁通信2018・5・15号掲載