大石久和氏④ 「インフラ整備で 生産性の向上 デフレ脱却」

公共事業が内需増やす

――公共事業費の意味とは?

大石 公共投資はストック効果もありますが、フローの面からも意味があるのです。

わが国はデフレが20年間も続いてきました。政府は、デフレは貨幣現象であるというとらえ方から、金融緩和をすればいいと、思い切ったゼロ金利政策までやりましたけれど、いまだにデフレから脱却できていません。お金の流通量を増やせばデフレを解決できると言ってきたが、そうではないということを、見事に日本が証明したわけです。

デフレの本質は需要、内需が足りないことです。国民も企業もお金を使わず、家計は貯蓄に励むから、デフレから脱却できない。これは当たり前のことです。それがやっと分かってきました。

そうした時に、国も民間の企業や国民と同じように支出を下げて行ったら、お金を使う人が誰もいなくなってしまいます。経済が回りません。

この20年間で公共事業費を半分以下に下げた国は、世界で日本しかありません。どの国も財政が厳しいのに公共事業費を増やしてきました。そして、公共投資がフローの意味でも経済を刺激し、税収を増やしてきたのです。

――公共事業があれば、仕事が増えます。

大石 橋で言えば、公共投資によって、橋梁メーカーを通して従業員にお金が渡り、会社は資材を購入し、設備投資もする、というお金の回り方をします。わが国はデフレですから、フローの意味でも、公共投資が大きな役割を果たすのは当然です。

ただ、政治家もメディアも、その意味での公共事業のところで話が止まっています。

(中略)

――インフラ整備が経済を回していくのですね。

大石 道路整備が出来上がると、流通や移動の環境がものすごく改善されます。例えば物流業界は人手が足りないと言われていますが、1人が1日に5軒にデリバリーできるのか、10軒にデリバリーできるのかによって、環境は全く変わってきます。

これから人口が減るなかで、この国が何より目指さなければならないのは、労働生産性の向上です。GDPを増やすには、1人当たりの生産性を上げるしかありません。いかに生産性を上げるかが、ポイント中のポイントです。物流環境を変えなければなりません。インフラを整備しなければなりません。

「メンテナンスの時代」 安易に言うな

 

――インフラ整備と言えば、橋梁の世界では、メンテナンスの時代とか、長寿命化とか言われています。本当にそうなのでしょうか。必要な所は新規の架設、既存は架け替えが必要だと、橋梁通信は訴えたいのですが、国の方針に逆らうことになりますでしょうか。

大石 そんなことはありません。全くありません。橋を含む現在の道路ネットワークが、市町村道から高速道路までの全体が望むべく姿になっているのなら、これからはメンテナンスの時代だと言ってもいいのかも知れませんが、高速道路一つ見ても、ミッシングリンクだらけというより、余りにもひどい状況です。日本海側はつながってもいません。

横断道路だって不十分な状況のなかで、果たして現在の道路ネットワークが完成形と言えるのか。一般国道や県道、市町村道を見ても、地元でお使いになっている方々が安心して暮らせるだけの質と量が出来上がっているのか。

決して、そうではありません。メンテナンスの時代が来たと、安易に言うべきではないと思います。

(全文は「橋梁通信」7月1日号でご覧ください)