田中賞 発注者コメント① NEXCO滋賀高速 追分橋耐震補強工事

六車晋也氏

西日本高速道路会社 滋賀高速道路事務所 改良第2課長 六車晋也氏

この度は名神高速道路追分橋耐震補強工事において、栄えある田中賞を受賞できたことに対し喜びの言葉を述べると共に、関係された皆様のご指導ご支援の賜物と厚くお礼を申し上げます。今回の受賞を契機に更なる向上心を持ち、技術面の充実研鑽に努めたいと考えております。

当初橋の支承条件と構造メカニズム

追分橋の当初構造は、中間橋脚がロッキング橋脚で、固定橋台単独で全地震力に抵抗する1点固定方式の連続桁橋という、現行耐震思想に沿わない形式が適用されていました。

また、耐震補強工事という性質上、名神高速道路および交差物件(国道1号線・京阪電鉄)を供用させながら施工するのが原則であり、本工事ではこの構造特性・制約条件に最も合致する補強工法の選定に努めました。

最初に構造特性に対しては、全体構造系の見直しを実施しております。通常の耐震補強では耐力不足箇所に直接補強を行い、構造系を変更しないことが基本とされますが、追分橋では免震支承への付替えにより橋梁全体で地震力に抵抗できる構造に改め、地震力の減衰・分散化により、問題視された両橋台の耐震補強を不要としました。

ここで、ロッキング橋脚は水平抵抗機構を持たないため、新たな橋脚に造り変える必要があります。この新中間橋脚は、交差条件による構造寸法の制約と、上部工による施工時上空制限を受けるため、鋼・コンクリート複合構造橋脚を採用し、軽量化に伴う柱・基礎のコンパクト化と共に、施工性と品質の向上を図りました。

「だるま落とし方式」 新技術を考案

ロッキング橋梁「だるま落とし」撤去

工事の中で最も苦心しましたのが、ロッキング橋脚の撤去方法で、新中間橋脚への上部工反力盛替え時まで機能させておく必要があります。

鋼製梁の縦移動状況(ジャッキアップ)

このため鋼製梁を複数パーツに分割・運搬し、ロッキング橋脚を取り囲むよう現地組立を行いました。但し、上空制限により大型クレーンが使用できませんので、事前施工していた軌条設備に荷卸し後、横移動・縦移動を繰り返し、ようやく鋼製梁を最終位置に据え置くことができました。

柱部コンクリートの打設後、ロッキング橋脚の撤去を行いますが、国道1号・京阪電鉄への保安対策として、ロッキング柱をブロック状に切断しながら下方より除去する「だるま落とし方式」を考案・適用しております。

これらの設計・施工上の配慮により本工事は平成28年7月に無事しゅん功し、現行の耐震思想に合致した形式への耐震補強を成し遂げることができました。最後に、本工事にあたりご協力頂いた委員会先生方を始め、関係各位に感謝を申し上げます。