循環式ブラスト工法 海外で初活用 産廃大幅低減 高く評価され

「循環式エコクリーンブラスト工法」(NETIS登録CB-100047-VE)が、国外で初めて採用されている。カンボジア王国のチュルイ・チョンバー橋改修の再塗装工事。産業廃棄物の量を大幅に低減できる点が高く評価された。

山田兄弟「失敗できない重要な工事」

山田翔平氏(左)と拓弥氏

カンボジアの首都プノンペン市内を流れるトレンサップ川を、小型船が上流に向かって進んでいた。2017年秋。川の流れは穏やかだが、水は焦げ茶色に濁っている。

しばらく進むと、チュルイ・チョンバー橋が目前に迫ってきた。

乗船している日本人4人の中に、ヤマダインフラテクノス取締役営業本部長の山田翔平さん(30) と、弟の拓弥さん(28)がいた。

橋を河川上から見上げながら、兄と弟は短い会話を交わした。

「どうだ」

「でかいね」

「お前に任せる。頼むぞ」

兄の言葉に、弟がうなずいた。それで十分だった。

同橋鋼桁部の旧塗膜除去工法には、日本で誕生した「循環式エコクリーンブラスト工法」が仕様指定されている。同工法は初めて海を渡った。

翔平さんは、もう3回目の現地調査。再塗装工事を請け負い、日本最高グレードの素地調整をカンボジアへ提供して確実に竣工させなければならない。

自社から誰を派遣するか。模索するうち、拓弥さんの顔が浮かんだ。

「失敗できない重要な工事だ。責任者には一定期間、異国で仕事をする精神力、不測事態への応用力等が必要。弟が適任だ」

拓弥さんはこれまで、日本国内の塗替塗装工事15現場を経験し、うち半数を責任者として完工に導いている。その実績から拓弥さんを起用することにし、この日の現地調査に同行させたのだった。

チュルイ・チョンバー橋改修工事の一環 Rc‐Ⅰ塗装系で2万㎡ 順調に進展文

同橋の改修工事は、国際協力機構(JICA)の無償資金協力(ODA)案件として実施されている。

アプローチ部(PC橋)の架け替え(延長87・80m、同80・70m)、渡河部(鋼橋、同540・40m)上部工の補修・橋面舗装・再塗装、下部工の補修、取付道路の改良・舗装、付帯設備の設置などを行う。施工は大林組だ。

拓弥さんは17年末、塗装SVとして現地に乗り込み、今日に至っている。塗装工に従事する日本人スタッフ8人と、現場近くにオフィス兼住居を借りた。最初の2週間、水にあたり、腹を下した経験から、食事は自炊が基本だ。

工事そのものは、日本国内で実績を積んできた同工法の設備・ノウハウをそのまま移設したため、順調に進んでいる。

再塗装工の数量は、外面塗装が約2万㎡をRc-Ⅰ塗装系で、内面塗装が約600㎡をRd-Ⅲ塗装系(素地調整程度2種)でそれぞれ実施する。

拓弥さんは、仲間ぬ感謝している。

「私を含め、若い男性9人が異国の1つ屋根の下で暮らしている。ぶつかり合うことも少なくないが、皆さんの協力のお陰で、お互いを尊重しながら、仕事を前に進められている」と

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山田理事長

「循環式エコクリーンブラスト工法」の普及に努めている一般社団法人・日本鋼構造物循環式ブラスト技術協会(JSCB、山田博文理事長)は今年4月、同橋の工事現場を協会員15人で訪問。同工法によるブラスト素地調整の状況、エコクリーンクールスーツなどを活用した熱中症対策を視察したほか、安全衛生パトロールも実施した。

 

 

 

 

 

 

現地視察の参加者(社名50音順)

▽IKKショット・本多昭彦部長▽安保塗装・安保充彦社長、木下健太氏▽シダックス・網野淳也主任、藤澤裕也主任▽瀧富工業・青木徳夫部長▽東昭こすも・前原宏行専務▽ナカムラ・中村忠之社長▽松草塗装工業・伊藤公一社長▽ヤマダインフラテクノス・山田博文社長、南川久雄常務取締役、山田翔平取締役、鈴木実部長▽渡辺塗装工業・渡辺勇樹取締役、星信二氏

海外で工法活用に感動 品質管理にヤマダ様式

南川常務

南川久雄氏  視察日はチェーン金具の盛り替え、ブラストホース等の移動作業をしていた。1次防錆塗装は、一定程度の施工量に達したら、再ブラストを行い、防錆塗装を行っていた。品質管理はヤマダ様式「ブラスト日常施工管理記録(英語Ver.)」で管理していた。

カンボジア国はインフラ整備が不十分ながら、高齢化が進む日本と違って、若者が多く、バイタリティーを感じた。中国の影響が強く、主要な産業は中国企業が占めているようだ。看板等もクメール語(カンボジア語)と中国語で書かれており、ホテル宿泊客もほとんど中国人だった。