特殊高所技術 高知道 わずか6日後の通行止め解除に貢献

足立敏之参議院議員が手記で「NEXCO西日本の迅速な対応に心から感謝している」と書いた、高知自動車道の早期通行止め解除。被災からわずか6日後に通行止め解除ができたのは、目視点検で安全性を確かめた特殊高所技術(ロープ高所作業)の力が大きかった。

ループス社(本社・広島)が活躍

丹羽社長

高知自動車道上り線の立川橋が豪雨による土砂崩れで落ちた、すぐ近くを走る下り線を対面通行にして早く通行止めを解除したい、それには下り線の千本川橋が安全だと確認しなければ、安全の確認にはループスの点検が必要だ――。

高知自動車道の管理・保全業務をしている通称・四国エンジ(西日本高速道路エンジニアリング四国会社)の担当者からそう告げられ、正岡久尚さんは「使命感と責任感から、例えようのないやりがいを感じた」という。

正岡副社長

特殊高所技術で橋梁など構造物の調査・点検・簡易施工を行う会社・Roope‘s(ループス、本社・広島市、丹羽健介社長)の副社長兼四国営業所長だ。

立川橋は7月7日、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)による大規模な土砂崩れで上部工が流出した。当時は上下線とも豪雨で通行止めになっていたが、高知自動車道は四国を南北に貫く大動脈であり、通行止めが続くと災害救援・復旧や物流、生活に多大な影響を及ぼす。

流出した立川橋 千本川橋の橋脚をこすった

千本川橋が残っている下り線(片側2車線)を対面通行にすることで、早く通行止めを解除しよう。

そう考えたNEXCO西日本は、路面調査や載荷試験、さらに特殊高所技術による下部構造の近接目視などで、急ぎ千本川橋の安全確認をすることにした。

ループスにも7日に連絡が入り、その日のうちに現地調査。翌8日に予定された点検の段取りを整えたが、正岡さんには気になる情報があった。立川橋の上部工が流された際、千本川橋の橋脚をこすったというのだ。

当然、その場所が点検の重要項目になる。ロープでぶら下がり、問題の場所に近づいて目視点検できる特殊高所技術が求められた理由だった。

千本川橋の橋脚をロープにぶら下がって目視点検(NEXCO西日本提供)

8日午前8時にはループスの8人が現場に集まり、うち6人が早速、ロープにぶら下がって作業を開始。豪雨後の曇天下、正午ごろには、こすった跡のほか、支承周りなども含めて、千本川橋の健全性が確認された。

現場付近では、土砂崩れが頻発している。1972年(昭和47年)には、小規模な土砂崩れに対応中に行方不明になった消防団員1人を捜索中に大規模な土砂崩れが発生し、60人が亡くなった「繁藤災害」も起きた。

だから、正岡さんは点検中、「また土砂崩れが起きたりしないように」と、作業員を心配していたという。

点検結果を受け、NEXCO西日本は、上下線の通行を切り替える「わたり線」を中央分離帯部に2か所設けるとともに、ポストコーンや規制標識の設置など安全対策を講じたうえで、立川橋流出から6日後の13日に通行止めを解除した(「橋梁通信」8月1日号に詳報)。

「上下左右 自在に 安全に」

正岡さんは、「会社冥利に尽きる仕事だったが、業務として依頼されたから対応したに過ぎない。これで満足していたら、被災地で働くボランティアの方々に遠く及ばない。災害時にはちゅうちょなく被災地に迎える組織に会社を育てたい」と振り返った。

また、ループスの丹羽健介社長は、「通常は近づけない場所を、上下左右、自在に動きながら、しかも安全に目視点検する。そんな、私達でなければできないことを、今後も役立てていきたい」と話している。

ループス社は元々〝特殊高所技術(ロープ高所作業)〟を確立した特殊高所技術社(本社・京都市、和田聖司社長)で長年、活躍してきた丹羽社長、正岡副社長が市場ニーズの広がりを受けて2014年(平成26年)に分社する形で設立。同年に一般社団法人・特殊高所技術協会へ入会、16年(平成28年)に四国営業所(愛媛県四国中央市)を設けた。