足立敏之参議院議員 被災地視察手記 「事前の防災対策」公共事業拡大で

立川橋の現場で説明を受ける足立議員(左)

 

足立敏之参議院議員(自民党)は平成30年7月豪雨(西日本豪雨)の後、これまでに3回、計5日間にわたって被災地に入り、被害の模様を視察した。近年は毎年、激甚な水害・土砂災害が発生していることから、「ハード、ソフト両面であらゆえる対策を講じ、災害の未然防止に努める必要がある」と述べている。橋梁通信社に寄せた手記を紹介する。(写真は足立敏之事務所提供)

高速道路 「4車線化」 証明された

このような災害は、私も初めての経験だった。

立川橋の落橋現場。橋脚や橋台の一部が残っている(右側は下り車線」)

4車線の高速道路のうち、上り2車線分の橋梁が、大規模な土砂崩れに伴って落橋したのである。橋脚やアバット(橋台)は残っているが、桁ははるか下に見える川まで落ちてしまったという。

高知自動車道の新宮インターチェンジ(IC))―大豊IC間の上り線、高知県大豊町の谷川に架かる立川橋(橋長63m)の落橋現場。山肌が大きくえぐれ、土砂崩れの規模の大きさが分かる。

高知道が止まると、四国の物流が致命的な打撃を受けてしまう。NEXCO西日本は今回、残った下り車線を対面交通で活用することにより、通行を確保した。同社の迅速な対応に心から感謝している。

高知道は私が四国地方整備局長として赴任した2009年(平成21年)の前年に4車線化が完成していた。これが未完成だったら、どんな事態になっていたことか。

今回の災害を見て、やはり重要な道路は4車線化しておく必要があると改めて強く思った。主要国のほとんどは4車線以上だというのに、日本の高速道路は38%が暫定2車線だ。こんなことではいけない。

暫定2車線の解消は、災害時のネットワーク確保の観点からも意義が高いことが今回、証明されたので、整備を急ぐべきだ。

高知自動車道の他にも、土砂崩れや河岸浸食で多くの道路が被災して通行止めになり、住民の生活、経済、復旧活動に支障が出た。ミッシングリンクの解消も急ぎ、強靭で、地域の孤立を防ぐ道路整備が必要だ。

温暖化対策 インフラ整備で

次に強調したいのが、インフラ整備による災害の防止だ。

例えば高梁川水系小田川(岡山県)、肘川水系肘川(愛媛県)など、治水対策が整備途上のところで大きな被害が発生した。

倉敷市真備町の被災現場

一方、旭川(百間川放水路、岡山県)、桂川(京都府)、長良川(岐阜県)など治水対策が施されていたところでは、大きな被害は発生していない。広島県では、1999年(平成11年)と2014年(平成26年)の土砂災害を契機に整備した砂防ダムが、被害軽減に大きく貢献した。

地球温暖化に伴う気候変動の影響は、全国で顕在化しつつある。公共事業予算は1998年(平成10年)頃から削減されてきたが、近年の災害頻発を考えると、再び拡大し、道路・治水事業を推進する必要がある。

既存の諸計画も必要に応じて見直し、「事前の防災対策」の観点から早急に対応すべきと考える。被災地の皆様とお話しした時も、「温暖化の影響を考慮して、単なる原形復旧でなく、できるだけ改良復旧を進めてほしい」という要請が強く出された。

建設産業の頑張り 頭が下がる

視察した場所では、地域の建設産業の皆さんが工事用道路を確保し、大型土のうを運び込んで堤防の復旧工事を進めていた。大変暑い中、頑張っている姿に頭が下がる思いだった。

被災地の復旧、そして復興には、建設業やコンサルタント、測量設計業など建設産業の力が不可欠だ。大変な状況ではあるが、地域の再生のためには皆さんの力が必要。よろしくお願いいたします。

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今回の災害で亡くなられた皆様のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。

また、建設産業をはじめ、国土交通省や自治体の皆さんには、昼夜を分かたず災害対応にご尽力いただき、心から感謝申し上げます。

 

【足立敏之(あだち としゆき)氏】 

1954年(昭和29年)兵庫県西宮市生まれ。京都大学大学院修士課程修了。建設省(現・国土交通省)に入省し、河川局河川計画課長、四国地方整備局長、中部地方整備局長、水管理・国土保全局長、技監などを歴任。南海トラフ巨大地震・首都直下地震や地球温暖化に伴う水害土砂災害など大規模災害への国の対策計画を策定し、TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)の創設、近畿自動車道紀勢線・北近畿豊岡自動車・四国8の字ネットワーク・東海環状自動車道・伊豆縦貫自動車道などの整備促進に携わった。2016年(平成28年)の参院選・比例代表に立候補して当選。国土交通委員会などに所属し、「建設産業の再生」「社会基盤の着実な整備」「地方の活力の再生」「安全・安心な国土づくり」などの政策を掲げて活動している。