余話 護国寺から 9 謎は深まる

さて、都内の寺院にある「石橋(しゃっきょう)」である。

(中略)

現地で不審に思ったことがある。案内板に「この石橋は昭和23年、文部省より重要美術品に認定されている」と書かれていた。あれっ? 先述の本には「東京都の重要美術品指定建造物」とあったが。

国と都では、やはり重要美術品としてのレベルが違う。どっちなのだろう。こんな時は、寺院に確かめるのが手っ取り早い。さっそく聞いてみると、「当初は国の重要美術品だったが、今は都の重要美術品になっている」(教化部)とのこと。

寺と本の認識は一致していた。国から都へ格下げになったのかなと、やや気にはなったが、一件落着である。詮索する必要もあるまい。

ただ念のため都に確認したら、「重要美術品という制度は都にありません」(教育庁地域教育支援部)。驚きの一言。事態は根底からひっくり返ったのである。

こんな場合は、国に聞くしかない。文化庁によると、かつて「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」があった。1933年(昭和8年)施行という古い法律である。