CIM第一人者 矢吹信喜・大阪大学大学院教授に聞く(後編)

若者が将来に夢持てる建設業界へ

前回に引き続き、大阪大学大学院教授でCIM推進の第一人者として活躍される矢吹信喜さんのインタビュー・後半をお届けする。海外と比べ、取り組みが遅れている日本。国が進めたいインフラ輸出の障害にもなりかねないと警鐘を鳴らす。ぜひ、将来の建設業界のために、組織のトップ、管理職の方々にはCIM化の必要性を理解し、踏み出していただきたいと。

なぜ変わらなければならないのか 根本思想を押さえる

――CIM加速化の1つの要因となっている海外の取り組みは?

矢吹 イギリスは2016年から、官庁工事についてBIMを義務化しています。それにフランス、ドイツが追随しました。北欧も以前から積極的に取り組んでいます。

アジアでは、シンガポールで国家がデータを全部吸い上げる仕組みになっていて、「バーチャル・シンガポール」という3Dのモデルを作っています。

中国は鉄道モデルの国際標準化に注力し、港湾にも力を入れてきました。また、韓国は道路の国際標準化を目指しています。

このように、欧米だけでなく、アジアもかなり熱心にBIM/CIMを推進していますから、海外と日本との間に大きな乖離ができてしまうのは好ましいことではありません。

――建設業界がさらに積極的に取り組んでいかなければならないわけですね。

矢吹 日本はサプライチェーン・マネジメント(供給連鎖管理)の観点からも取り組んでいく必要があると思います。

(中略)

――将来展望としては

矢吹 IFCのインフラのモデルが一番進んでいるのは橋梁です。おそらく2020年にはIFCブリッジがかなりできあがっているはずです。

できあがりますと、3D CADは今まで、主に形状を作る、見せることに重きがあったのですが、様々なソフトウエアとの間で共有して、あたかもソフトウエアが構造、属性、材料、力の掛かり方などを理解しているかのように振る舞わせることができ、そうなると格段に生産性が上がるはずです。

ですから、今は少し我慢してBIM/CIM関係に投資すれば、将来に必ずプラスになります。

事故が起こりにくい安全でクリーンな環境、給料も高くて休みもある。そんな、若者が将来に夢を持てる建設業界に変えていくことによって、労働者の高齢化、担い手不足解消に必ずつながると確信しています。

(全文は「橋梁通信」9月1日号でご覧ください)