主張(14) 国土を「獣の天国」にするな 先人の労苦を忘れない

前回の「主張」は、「道路メンテナンス年報(第4弾)」の公表に際し、地方のことは地方任せという「道路管理者」制度の見直し、当事者意識を持たせるため財務省を含めた関係省庁による年報取りまとめなど、大胆な提案をした。

自治体管理の橋梁は管理・修繕に難儀していることが、年報から伺えたたからだ。

問題は橋梁にとどまらず、国土保全という大きな問題と密接につながる。橋梁の判定区分Ⅱ・Ⅲは修繕が進まない、いずれⅣに移行する、Ⅳは通行止めや撤去-―という流れが定着したら、この国土はどうなってしまうのだろう。

目に見えるのは、橋がない、その先へ行けない、空き地や耕作放棄地、手入れされない山林が増える――ことだ。そこに人の姿はなく、イノシシやサルなど獣の天国である。

現在でさえ多くの自治体が獣対策に困っているのに、橋がなくなって、人が行けない場所が増えれば、獣天国は爆発的にスペースを増すだろう。

防災対策も取られず、そこで発生した土砂が人の住む地域を襲うかも知れない。

先人が土木の力で営々と築き上げてきた国土を、今の時代に荒廃させてしまうことが許されるはずもない。

(中略)

自然保護等で原始のまま保存する特殊なケースを除けば、国土の保全は、まずはその場所に行くことが前提だ。行くことができない場所を、どう保全するのか。

「行く」ためには道路、橋梁が不可欠なのであって、その点を改めて再確認しておきたい。

(「木戸健介さんの足跡をたどる」シリーズは休みました)