余話 護国寺から 10  「当分の間」が70年

2回休載したので復習すると、東京都内の寺院に都内最古とされる石橋(写真)がある。現地の案内板には「昭和23年、文部省より重要美術品に認定」と書かれているのに、この石橋を紹介した書籍には「東京都の重要美術品指定建造物」とあった。不思議に思って同寺に聞くと、「当初は国の重要美術品だったが、今は都の指定になっている」とのことだったが、その都は「重要美術品という制度はない」という。

そんな石橋ミステリーを追うと、「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」にたどり着いた。1933年(昭和8年)施行という古い法律だ。文化庁によると、「国宝の資格を持ちながら、まだ国宝になっていない、いわば準国宝」を重要美術品に認定する制度で、全国で8千件余の美術工芸品や建造物が選ばれた。

しかし、この法律は1950年(昭和25年)、現在の文化財保護法施行に伴って廃止された。認定もその前年で終わっている。同法はその附則で、「(重要美術品に)認定されている物件については、(中略)当分の間、なおその効力を有する」とした。

(中略)

石橋は確かに重要美術品に指定されていた。案内板の表記は正しいのである。しかしその後、都に重要美術品制度ができたわけでなく、「当分の間」が70年近くも続いた。

いやしくも、現存する都内最古とされる石橋である。宙ぶらりんな状態から、もっと適切な処遇はできないものだろうか。

先の書籍は、石橋を「知られざる橋」と書いた。このまま忘れられ、いつか建造物としての寿命も来てしまうのでは、橋梁ファンとしては悲しい限りだ。

(全文は「橋梁通信」10月15日号でご覧ください)