ISO12944が改定 防食塗装で長期耐久性を規定

ISO(国際標準化機構)は、鋼構造物に対する防食塗装システムの国際規格「ISO12944 Paint and varnish -Corrosion protection of steel structures by protective paint systems-」※1を今年2月までに全面改定した。

改定内容は長期耐久性の要求に応えるもので、これまで上限が「15年以上」とされていた耐久性期間区分を「15~25年」と「25年以上」とし、腐食環境区分「C5-I、C5-M」を超える腐食環境(主に海上環境)を「CX」として、明確に分離した。

改定のポイントは①耐久性期間区分に「Very High」が追加され、4区分になった(表1)②腐食環境区分が従来のC1~C5に加え、腐食環境が厳しい海上を想定した「CX」が制定された(表2)③これまでポリウレタンに区分されていた「ふっ素樹脂」が「ポリシロキサン」「ポリアスパラギン酸」とならんでポリウレタン樹脂を変えることのできる適切な技術であること、かつ該当するふっ素樹脂としてAGCが開発した「FEVE(フルオロエチレンビニルエーテル)」※2が掲載された――等が挙げられる。

ポリウレタンの区分内で、詳細な記載がなされたふっ素樹脂は、実質的には従来のポリウレタン技術とは異なり、グレードの高い技術であると区分されたに等しい内容となった。

 

「FEVE」 ISOに記載される

今回の全面改定の背景には、大きく2つの要素があるとみられる。

まず、鋼構造物に対して、これまでISOで規定していた以上の厳しい腐食環境で、さらなる長期耐久性が要請されていること。

次に、ISO制定後20年間で実証されてきた防食塗装システムの反映、つまり、FEVE等の国内外での、数多くの知見が寄与したものと思われる。特定の化学品名がISOに掲載されることは極めて珍しい。AGC製「ルミフロン」に代表されるFEVEの長期耐久性が世界的に高く評価された形である。

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※1「ISO12944」 橋梁、タンク、煙突、風力発電設備など様々な鋼構造物を対象にした防食塗装の国際規格。世界中で使用されている。1998年制定、この間、何度か改訂がされてきた。今回20年ぶりに全面改定が実施された。

※2「FEVE」 旭硝子(現AGC)が1982年に製品化した溶剤可溶形ふっ素樹脂「ルミフロン」の化学品名でもある。フルオロエチレン(FE)とビニルエーテル(VE)の、ほぼ完全な交互共重合体。主鎖の結合エネルギーが比較的均一で、紫外線エネルギーより高いことから、一般的なポリウレタンと比較して耐候性に優れている。