挑戦者たち リノブリッジ副社長 竹内祥一さん 

AOS工法 伸縮装置と床版防水一体型 コストダウン 施工も短縮化

丸福久保田組(現、福見建設)がメンテナンス部門を立ち上げた2004年に入社し、阪神・淡路大震災後、高速道路高架橋の耐震補強で経験を積んだ。以来、橋梁補修工事を統括すること1000件以上。小規模橋梁のメンテナンスに必要なシステムや工法の開発にも挑戦し、その1つ「AOS工法」展開のため、新会社「リノブリッジ」を発足させた。

開発に挑み始めたきっかけは、見積額が受注金額の2倍ほどという珍事だった。

自治体が発注した小規模橋梁の補修工事で、元請から相談を受けて費用を見積もった時のことだ。あわてて精査すると、仮設や足場などの費用が入札時の積算に含まれていないなどの不備が分かった。元請はゼネコンとはいえ、橋梁工事には不慣れだったようだ。

工事はコストダウンを重ねて何とか終わらせたが、予感があった。「今後も同種の問題が起切るのではないか」。小規模橋梁の補修工事をトータルにサポートできる商材を開発、販売しようと考えた。

チャレンジが実って実用化できた発明は、3つの分野。初めに手掛けたのは、受注段階で積算と実行予算を同時に計算し、施工計画書と出来形管理もできるトータルなシステムだった。

2つ目は、点検調査の際、現場でタブレットにスケッチすればそのままCAD化できるシステム。

そして3つ目が、「AOS(ARCHIST ONEPIECE-GEL SYSTEM)工法」だ。小規模橋梁用の伸縮装置で、床版と同じアスファルト乳剤系の伸縮材と防水材を使用することで、埋設型伸縮装置と塗膜系床版防水工の一体施工ができる。

「AOS工法の材料は充填剤、防水材、下地のプライマー、珪砂のみ。人が現場に搬入し、材料を振って練って、袋を開けて刷毛やローラーでのばすだけで施工できる。従来の伸縮装置では、ユニッククレーンが入って、ジェットコンを打って、重機の使用と、煩わしい手間がかかるが、AOS工法ではそれらが一切必要ない。養生も1時間程度で済み、現場の施工や段取りが早くて、楽」

作業風景

着手から3年を要して昨年2月に開発、同年8月にNETIS登録を果たした。

NETIS条件下で3日かかる工事が2日、コストも15%下がる計算で、元請に好評だという。

そこで、今年5月、「AOS工法」に特化して展開すべく、福美建設から分社化してリノブリッジを立ち上げ、代表取締役副社長に就任した(福美建設代表取締役副社長はそのまま)。

これまで中部圏を中心に15例の実績があるが、新会社設立を機に全国展開。各地の建設コンサルタントを回り、紹介しているところだ。

「小規模橋梁の伸縮装置の防水性能をどう担保するか、皆さんが困っている。従来型の装置をセットするのはコストもかかり、無駄が多い。かといって、コーキング材を塗って終わりというと、性能的に疑わしい部分がある。AOS工法があれば、すべてカバーできる。知っていただければ、必ずお役に立てる。来年度中には全国で3、4百橋での採用が目標だ」

力強く抱負を語った。

※橋梁通信2018・11・1号掲載