軽い直交集成板「CLT」 床版更新に 秋田県立大 木高研が挑む

老朽化した橋梁の補修が増えるなか、秋田県立大学・木材高度加工研究所(木高研)は、新しい木質材料・CLT(クロス・ラミネーティッド・ティンバー、直交集成板)を床版の更新材料に活用する研究を進めている。これまでに4橋で試験施工し、14tの車の通行に耐えられることを実証した。今年は、完全な防水、コスト低減、行政の認知度向上などに取り組む。(写真、図は同研究所提供)

 

田沢湖町の林道橋。主桁と横桁の架設

CLT床版を使った橋梁のイメージ

一般的な集成材は1枚1枚のひき板を繊維方向が同じ方向に接着、柱や梁など軸の材料として使うのに対し、CLTは繊維方向が直交させて接着する。90年代にヨーロッパで生まれ、主に中高層の建築物で床や壁など面の材料として使われている建材だ。

日本では,品質や製造方法に関するJAS(日本農林規格)が13年に制定され、建築に使う際の建築基準法告示が16年に公布された。

国産CLTはスギやヒノキなどで作られ、単位体積重量がコンクリートの1/6~1/4と軽いのが特徴。また、最大で幅3m、長さ12mの製品が製造可能だ。コンクリートスラブのような厚みも確保できる。

 

同 CLT床版の架設

同研究所はCLTのこうした特性に着目し、床版更新の材料に使えないか、研究を始めた。背景には、秋田は日本屈指の林業県だけに、橋の補修で地元の木材と技術を活用し、CLTの新たな需要を生み出すことで、地域経済の活性化、木材の需要を創出する狙いもあった。

佐々木貴信・同研究所教授は「現行の設計荷重に対応するよう橋梁を改修する際、床版の厚さの増加に伴い、主桁の補強が必要になるケースで、RC床版と同程度の断面で取り替えが可能なら、CLT床版は重量が軽い分、主桁や下部工の補強を行わずに改修できる可能性がある」という。工期やコストの削減が期待できるわけだ。

ただ木質材料だけに、活荷重の繰り返しによる疲労や、木材の腐朽による劣化

が懸念される。

同 完成した林道橋

疲労について、佐々木教授は「CLTの曲げ疲労試験や輪荷重走行試験を繰り

返し行い、十分な疲労耐久性があることを確認した」と説明。腐朽に対しては、「ひき板に防腐薬剤を注入するような従来の科学的処理ではなく、FRPシートによるラッピングや、ポリマーセメントによるコーティングでCLT全体を包む物理的処理で防水・防腐効果を得る方法を検討している」としている。

17年3月に試験施工した仙北市・田沢湖町の林道橋(長さ7m、幅3.5m)では、(以下、略)

(全文は「橋梁通信」1月1日号でご覧ください)