首都高技術センター 技術講演会③ 東京都市大学学長 三木千壽氏

「橋の臨床成人病学」を提唱

インフラ+100年を目指して

東京都市大学学長 三木千壽氏

従来の構造工学、橋梁工学はすべて、新しい構造物を造ることを目的とした体系だった。それに対し、すでに存在している構造物、施設を対象とした新しい形の工学体系が必要と考え、私は橋の臨床成人病学を提案している。

人間も早い人では40歳台で成人病になるが、最近は100歳まで生きる時代になった。橋梁でも個々の構造物ごとに異なる経年の劣化現象をとらえるのが、これからの課題だ。

橋の成人病の代表的な症状は、鋼構造物の疲労と腐食、コンクリート構造物のアルカリ骨材反応、塩害、中性化などである。①いつ、どこに、何が起きるか分からない②アクセスが困難な位置に発病③表面からは検出困難な劣化や損傷④膨大な数の対象箇所―という問題があり、対処は点検・診断・措置・観察になる。措置とは、人間の体と同じで、放置した方が良くなる場合がある、と言う意味で使っている。

それで、構造物の寿命は何年なのか。よく50年と言われるが、本当なのか。山手線には、明治時代の開通時から使われている橋梁も多い。平成29年の道路橋示方書では、供用期間100年とされた。既存の橋梁では、余寿命の評価とともに、必要に応じたアップ・グレイドが課題である。

臨床的所見として、構造物の真の性能を知るには次の3点がある。

(中略)

これから考えなければいけないことは、次の2点である。

①「メンテナンスはサービス、技術は無償」からの脱却。的確な診断はその後の措置の費用をドラスティックに縮減する。

②この分野のビジネスモデルを作る。そのためには、サービスの停止、突然の通行止めなど、発生する膨大な社会的損失を精度高く評価しなければならない。

ミニマムなコストで安全・安心・快適な社会資本の確保、そして全てのインフラをプラス100年使えるように。それは技術革新により可能となる。

(全文は「橋梁通信」2019年1月1日号でご覧ください)