SIPセミナー「インフラの点検・診断・メンテナンスの今後を考える」① 

SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術セミナー「インフラの点検・診断・メンテナンスの今後を考える」が昨年12月5日、東京都内で開かれた。冒頭、SIPの藤野陽三PD(プログラムディレクター、写真上)が、「道路施設の点検が一巡し、来年度から新しい姿で始まるので、1つの区切りとして、今後へのきっかけ、チャンスになればいいと思ってセミナーを企画した」と挨拶。米・ニューヨーク市交通局で長年インフラのメンテナンスを行ったヤネフ・コロンビア大学客員教授と、オーストリアでインフラの点検調査を手掛けてヨーロッパのインフラメンテナンス研究プロジェクトのリーダーも務めたウェンツェル博士が、現状と課題を報告した。日本側から、橋梁点検に携わっている中堅6人が講演した後、パネルディスカッション「持続性のあるインフラメンテナンスに向けて」が開かれた。

(主催=SIPインフラ維持管理・更新・マネジメント技術、土木学会SIPインフラ連携委員会 共催=インフラメンテナンス国民会議)

「すべてのミスはマネジメントの失敗だった」 ヤネフ・コロンビア大学客員教授

米国には道路橋が65万、鉄道橋が22万ある。経年を見ると、50年以上が39%で、40-40年15%、30-39年12%などとなっている。

管理面では、事故を契機に橋梁マネジメントが進化してきた。

1967年のシルバー橋崩落後、全米橋梁台帳(NBI)が作られ、2年に1回の点検が義務付けられた。また、国家橋梁点検基準(NBIS)が作られ、橋梁点検員の教育制度も構築された。

その後、破壊上重要(fracture critical)の概念導入(重要な構造部材の検査)、水X風構造物の5年に1回の点検義務化、耐震設計などと続いた。

米国の特徴は、マニュアルやテキスト類の蓄積だ。設計基準、ライフサイクル評価、吊橋のケーブル点検と強度評価、マネジメントシステムなどがマニュアル化され、橋梁マネジメントにかかわる多くのテーマがテキスト化されてきた。

アセットマネジメントのためのデータ統合と共有も行われている。

これまでの失敗に学ぶと、要因は、品質の低さ(設計,製作,材料,技量)、不適切な建設方法(プロセスの途中で加えられた荷重も含む)、既存施設は状態変化に対処するための監視が不適切であること、関係者の知識と経験の不足――などだった。

すべてのミスは、マネジメントの失敗だったと言える。(以下、略)

「点検から性能評価へ 大きな流れがある」 ウェンツェル博士

 ヨーロッパでは1978年に最初の点検基準(2年に1回の目視点検、5年に1回の詳細点検)が作られた。

90年には一般橋と特殊橋(2-5%)に分類し、一般橋では点検項目を減らした。また、一般橋は管理者による直轄点検、特殊橋は専門コンサルタントによる点検と分かれた。

2000年に点検周期が変更され、目視点検は3年に1回、詳細(法令)点検となった。

2012年には、維持・管理手順にモニタリングとライフサイクルマネジメントが追加された。

ドイツでは2015年、予算2倍、新技術とビッグデータ導入という包括的な展開があった。「点検から性能評価へ」という大きな流れがある。(以下、略)

 

(全文は「橋梁通信」2019年1月1日号でご覧ください)