挑戦者たち ダイニン専務 佐々木琢磨さん

全国へ市場を拡大 高品質・低コスト・工期短縮にも

PCコンクリート橋の型枠製造で35年、約5000件以上の実績を誇るダイニン。CAD/CAM技術の導入をいち早く取り入れ、精度の高い商品を製造するとともに、顧客の要望に応える、多品種少量生産に挑戦してきた。そして近年、より一層求められる高品質、低コスト、短納期への対応力の高さを発揮し、全国へと市場を拡大。試行錯誤しながら4代目として会社を切り盛りする、ダイニン・佐々木琢磨専務に聞いた。

材木商として創業 81年から型枠製造 経営危機から真の仕事へ

佐々木琢磨専務

型枠製作は、顧客の要望を形にする仕事である。大手自動車メーカーの開発部隊から転進した4代目は様々なチャレンジを重ね、業界をリードする会社の形を作ってきた。

コンクリート橋梁工事に使われる木製型枠を設計・製作するダイニン。1901(明治34)年、大阪市西区で材木商として創業した。3代目の父・佐々木茂社長は1981(昭和56)年、コンクリート橋梁用の木製型枠の製造・販売を開始。現在の大阪府茨木市に社屋・工場を移したのを機に、型枠製造へ事業の軸足を移していった。

製作図のCAD化やCAD設計データをそのまま加工機に転用するCAD/CAM技術をいち早く導入するなど、会社の歩みは挑戦の連続だった。

そんな家業を継ぐために佐々木琢磨専務が入社したのは、2002年。しばらく順調に事業は推移し続けたが、試練に襲われた。08年からの建設不況。取引先の倒産のあおりを受けるなどして、経営の危機にも直面した。

「私の真の仕事は、その時の困難を乗り越えることから始まったのです」

会社のかじ取りを本格的に行うようになった。

それまでの常識が通用しない中、経営再建を目指し、必死に顧客先を回ってニーズをくみ取り、会社が進むべき道を模索した。

取引先は、PC専業者から大手ゼネコンへ拡大していった。時代の流れとともに、品質(精度+強度)やコスト、納期など、顧客の要求レベルが上がり、それをクリアするための奮闘が会社を挙げて続いた。

設備投資も思い切って断行した。生産の自動化・ロボット化を進め、従事者の技量向上も図った。ハードルを1つずつ乗り越えた結果、製造能力を2割程伸ばし、工期短縮するという成果を実現させた。

プレキャスト床版用が増加

新設から補修へ。時代の変遷から、このところ、北陸、九州新幹線建設のPC橋工事での採用や、高速道路の大規模更新事業に伴うプレキャスト床版用型枠の注文が増えてきたという。

「最近は現場に留まらずPC工場への型枠納品も増えてきました。リニューアル工事は今後市場拡大が見込まれる分野。ニーズにしっかりとお応えして製品化していきたい」。

佐々木専務の挑戦は今後も続く。

「人手や資材が不足する昨今、受発注の状況が変わり、お客様のご要望も変化しています。高品質、低コスト、工期短縮などお客様の求めには、最大限の努力を惜しみません。これからもぶれずに、多品種少量生産に誇りを持ち、仕事を選ばず、お客様にご満足いただける橋梁の型枠製作に邁進していく所存です」

ダイニン 沿革

1901年 大阪市西区にて木材商を創業。

1973年 土木・建築用型枠の製造・販売を開始。

1981年 橋梁用型枠の製造・販売を開始。

1982年 ㈱大仁を設立。現所在地(大阪府茨木市)に本社新社屋・新工場を建築。型枠製造・販売事業の主体化をはかる。

1983年 型枠設計用CAD導入。

1989年 型枠製品のCAD・CAM化製造開始。

1995年 本社第2工場を新設。

2002年 ㈱ダイニンに社名変更。橋梁型枠製造の進化、新規型枠材料工法の開発提案を目指す。

2012年 本社第3工場を新設。現在に至る。