橋に魅せられて 日本ペイント 大澤隆英さん

「求められる――現場に即した鈍感な塗料」

塗料だけでなく、素地調整や安全衛生設備など「防食」にまつわる広範囲、かつ膨大な知識と知見の持ち主として、また鉛・クロムフリーさび止めペイントの開発者として知られる。

鋼道路橋の最新の防食指針である『鋼道路橋防食便覧』(2014年3月)の委員をはじめ、「ISO」(国際標準化機構)、「JIS」(日本規格協会)で長年、塗料・防食の規格づくりに関ってきた。

施工会社から、防食システムをうまく客先に伝えらないとの相談を受けると、「私が同行して、説明しても構いませんよ」と即答。そのフットワークの軽さにも信頼が寄せられている。

1966年、愛知県東海市生まれ。得意科目だった化学を、生涯の道に選んだのが高校時代。91年に名工大・大学院を修了後、日本ペイントに入社した。

3年間の研究職を経て、技術サービス部門に異動。現場調査、施工指導、クレーム対応のほか、塗料品質を配合設計に反映させ、客先に塗料・塗膜という商品で「感動を届けることが主な仕事」。現在まで、丸23年が経過した。

「電力施設での塗料だれ、高速道路橋の塗膜界面はく離などのクレーム対応で客先に出向き、叱られ、冷や汗をかきながら育てていただいた。現場に即した防食システムの重要性を学べたことが、強みになっています」

現職に就任後の15年間で、売上ロス率(失敗コスト率)が低い数値に抑えられてきたことは、「同僚・部下の頑張りとともに、施工・塗装会社様に協力していただき、時に怒られた経験が糧」と話す。

「塗料は半製品。メーカーが出荷した後、現場の施工によって塗膜として完結する。長年のクレーム対応で、現場の実態・苦労の一端を知っているから、机上の理論だけで規格を作らないよう心がけてきました」といい、「だからこそ、多様な現場で効果が発現できる〝鈍感な〟塗料が求められるのです」。

いつも静かな笑顔が魅力的な52歳。小社刊『防食ソリューション』執筆者の1人である。

(技術本部 鉄構塗料技術部 技術グループ マネージャー)

※「橋梁通信」2019年2月15日号掲載