設計は20歳の舞鶴高専学生 兵庫・養父市 橋の架け替え 天滝への遊歩道で 

災害で落ちた橋を産学官それぞれの知識や能力を持ち寄る分業方式で架け直す工事が、兵庫県養父(やぶ)市で行われた。設計者は、舞鶴高専の20歳の学生。規模は小さいながら、自治体管理の橋梁を地元の力で存続させる工夫として注目される。(写真は養父市提供

架設されたのは、日本の滝百選に入っている同市内の観光名所「天滝」に向かう遊歩道上の橋(支間長10m、幅1m)。旧橋は木製で、17年の豪雪で落橋した。

架け替えられた橋(後ろの滝は「天滝」ではありません)

ぐっと近づくと

市は仮橋でしのいだが、何度も流されたことから対策を検討。現地は遊歩道を800m登った所で車が入れないため、H鋼をヘリコプターで運ぼうと考えたが、国定公園内で許可が厳しい。また、着荷場所を作るのに伐開が必要で、コストも高いことから、「人力で運搬可能な資材サイズの橋」が浮上した。

地元では、平成30年豪雨災害直後でコンサルタントも繁忙を極めていたことから、橋梁維持で自治体と連携している京都・舞鶴高専の玉田和也教授に相談。5年生の安藤翔さん(20)が玉田教授の指導を受け、卒業論文のテーマとして橋を設計することになった。

安藤さんが設定した条件は、①2mの積雪にも耐えられるよう、主構の材料は鋼②人力での資材搬入となるため、1部材当たりの重さは20㎏以内③国定公園内であり、景観に配慮したデザイン――など。

 

条件に合うものとして、ポニー形式のボーストリングトラス橋を選定。格点部をピン結合として1部材の長さを2mに抑え、75×75のアングル材を利用することで人力輸送を可能にした。

鋼材は地元の工場で製作、仮組検査し、現地へ搬入した。やはり市のアイデアで、現場近くにヒュッテなどを持つ神戸大山岳部・山岳会に依頼したところ、快諾。部員やOBら延べ60人が6日がかりで資材を運搬した。

地元の木材会社が床版を造り、橋は昨年暮れに完成。測量、資材、組み立て等の費用は約1千万円だった。安藤さんは隣の豊岡市出身。「地元の橋を設計できて良かった」と話す。今春、金沢大に編入学する予定だ。

玉田教授は、「レトロな橋ができた。地元の大切でかわいい橋を地元の皆さんで作り、守り、使い続けて」と願う。

また、同市建設課の石原純課長は「中山間地は自然環境が厳しく、人手も不足気味で、都会では簡単なことでも難しいケースは多い。今回は、地域の学識者や学生、地元企業を巻き込み、地域の観光資源である天滝の盛り上げにつながれば何より、という思いで取り組んだ」と話している。

※「橋梁通信」2019年3月1日号掲載