橋に魅せられて オフィスケイワン 保田敬一さん

 「ベストパートナーであり続けるために」

フリーソフトのアクロバットリーダーで、属性情報付きの3次元(3D)データが編集できる「CIM・PDF」を開発した。橋梁ファブと共同開発した「橋梁工事VR安全教育システム」もレンタル販売を開始。どちらもNETIS登録技術だ。

これまでも、橋梁3Dモデリングソフト「Click3D」の開発、CIM試行工事「筑後川橋」で3D構造照査やVR(仮想現実)を用いた安全教育、PRISM案件「多伎インター橋」(PC橋)の3Dモデル作成・データ活用・AR(拡張現実)技術導入などで、高品質、省力化に貢献してきた。

「引き合いが増え、めまぐるしい毎日です。納期など苦しい部分もありますが、目標を見失っていたあの頃に比べたら、今は充実感でいっぱいです」と笑う。

あの頃――。大学を中退後の20歳の一時期、早朝は青果市場、夕方はガソリンスタンドで、生活の糧を得るためアルバイトに明け暮れた。

生まれは1974年、兵庫・尼崎。母は産後の肥立ちが悪く他界した。ゼネコンで活躍する姿を思い描き、学費を自ら用立てて関西大学・建築学科に入学したものの、新聞配達と両立できず挫折。

将来が見通せないまま過ぎた1年。それでも、ものづくりを仕事とする技術者への夢は消えず、むしろ高まった。

鋼橋設計図・製図システム開発のマック設計に21歳で入社して、人生が変わった。7年後、日本構研情報(現JIPテクノサイエンス)に転職。

この2社での20年余で、明石海峡大橋、阪神高速、また阪神淡路大震災からの復旧工事などで、設計製図業務や自動製図システム開発、製作情報処理、干渉チェックシステム開発などに従事してきた。

オフィスケイワンを創業して5年が経ち、従業員は6人に。今年5月、同じビルの広いオフィスに転居予定だ。業務は拡大しても、社内外の声にじっくり耳を傾ける聞き上手は変わらない。

「変化する建設業界。お客様のベストパートナーであり続けるために変化を恐れず、創業時の思いはそのまま、従業員とともに成長していきたい」。45歳。

(代表取締役)

※「橋梁通信」2019年3月1日号掲載