橋に魅せられて 橋梁調査会 吉田好孝さん

「橋梁ーーなんて素晴らしい仕事なんだ」

東京湾アクアブリッジ(橋長4・4km)の主径間部(スパン240m)箱桁を大ブロック架設して桁がつながったある日、渦励振が発生した。

渦励振による桁の振動は風洞試験結果などにより予想されていたが、振幅量50cm超という大きくうねるような振動に関係者全員が驚き、すぐに状況調査と対策検討を開始した。

1993年本四公団から東京湾横断道路会社に出向。本社技術部の技術第2課長として対策に当たる。45歳だった。

「万が一、桁が振動した場合に備えて制振装置(TMD)の設計は行なわれていました。それまで鋼箱桁橋においては風洞試験で振動が認められても、実橋ではほとんど振動は発生しないと思われていました」とし、そのうえで「しかし、実際に渦励振が発生したことは、過去の風洞試験やそれについての知見が正しかったことを意味し、この認識は確実に継承されています」と話す。

TMDの設置数を当初計画の倍の16基に変更することや、土木研究所の提案を受けて防護柵に沿って高さ49cmの鉛直板を設置することを上司とともに選択し、耐風構造の専門家の方々の審議を経て採用した。結果、最大振幅を7cm以下に抑えることができた。

48年、北海道・手稲生まれ。本四架橋を想定して行われていた北海道・狩勝(かりかち)峠の各種実験の報道を見聞きするうち、「橋が面白そうだ」との思いが募る。

72年に室蘭工大を卒業後、本四公団に入社。「なんて、素晴らしい仕事なんだ」――。この感激が、半世紀が経過した現在も色褪せない。

大三島橋アーチリブ補剛板の座屈実験や道路部の様々な形式の橋梁設計や工事を現場で直接経験したこと、下津井瀬戸大橋の鷲羽山側トンネル式アンカレイジで吊橋ケーブルを定着するマスコンクリート構造の設計から施工までを担当したことが思い出深い。

現在は橋梁調査会で橋の維持管理を担当。「官民で開発中の各種点検ロボット技術と合わせて、我が国独自の架橋技術を外国に売り出していく余地はあるはず」。70歳。

(企画部 調査役)

※「橋梁通信」2019年3月15日号掲載