社長放談 ブリッジ・エンジニアリング 大江慎一社長

技術力を常に向上 「本四」 200年以上の保全へ

開通から瀬戸大橋が30年、明石海大橋は20年の節目を昨年4月に迎えた。今年5月には、来島海峡大橋、多々羅大橋、新尾道大橋がそろって20年を迎える。世界にも稀有の大規模構造物群・本州四国連絡橋。保全現場の最前線を担うブリッジ・エンジニアリングの大江慎一社長に聞いた。

 

かかりつけ医 かつ総合診療医 経年劣化 役割ますます大きく

同社は1985年の設立以来、本四連絡橋の保全事業を支えてきた。

「本四高速の経営理念に『200年以上の長期にわたり利用される橋を目指し、万全な維持管理に努めます』とあり、わが社は保全の現場部門としてそれを実践していく立場です。

構造物の経年劣化が進む中で、役割はますます大きくなっています。そのため、わが社は常に技術力の向上に努めていく必要があると考えています。 

私たち保全技術者は、常日頃から管理する橋梁のかかりつけ医として健全度を把握しながら、保全に関する幅広い知識を持つ総合診療医でもあるべきです。

私たちの診断により、その後どのような調査が必要か見極め、検査技師や専門医にあたる調査・検査の専門会社につなぎます」

(中略)

ライフサイクルコストの低減 調査・補修などの効率化も

本四連絡橋には代替道路がないため、通行止めを極力行わない保全作業の必要がある。加えて、自動車が通行する近傍や、瀬戸大橋では鉄道に近い場所での作業もあり、第三者災害防止への配慮が求められる。

「保全は作業の時間・場所の制約を受けるなどするため、知恵や工夫、高度な技術力が必要です

私が当社に入社した頃は急激に保全業務が増大し、体制の構築が大きな課題でした。そのことから本四連絡橋の保全を実施する体制構築には、先人達の生みの苦しみがあったと推察します。その努力に感謝を申し上げたい」

(中略)

知識や経験 次世代に継承 私の義務として取り組む

「本四連絡橋の保全事業の担い手は、材料の性質、設計の思想や基準、そしてどのような品質管理で造られたのかを理解した上で、点検・診断、防食対策、補修・補強を実施しなければなりません。

現在は、本四連絡橋の建設に携わり、愛着と使命感を持った年配の技術者に頼っているのが実情ですが、今後は次世代の技術者への継承が不可欠です。

幸い、私は本四連絡橋の建設時代に長大吊橋・斜張橋の調査設計、製作・架設の工事監理や設計基準の検討に携わりました。

そして近年は、これらの保全に従事する機会に恵まれました。

その後は防食や診断の技術習得に努めました。これらの知識や経験を若手技術者に伝承していくことを、義務として取り組んでいきたいと考えます」

(中略)

大江慎一(おおえ・しんいち)氏 1958年富山県生まれ、東北大学工学部土木工学科卒。本州四国連絡橋公団(現・本州四国連絡高速道路会社)に入社し、瀬戸大橋や明石海峡大橋の建設に従事。本四3ルート完成後、しまなみ今治管理センター所長などとして、その保全に当たった。ブリッジ·エンジニアリングの尾道支店長、神戸支店長を経て、18年代表取締役社長に就任。

(全文は「橋梁通信」2019年4月1日号でご覧ください)