主張(29)「オーソドックス」と「踏み込んだ」 足元を忘れたメディア④

このシリーズは、メディアがインフラを語る時、いわゆるハコモノと土木インフラを一緒にするな、と言っている。

「みずほリポート」(2017年3月)は「インフラ老朽化と今後のマネジメントの方向性」と題し、自治体の動向を調べた。「成功のカギは自治体の取り組みに対する住民の理解」と考えたからだ。

それによると、国が13年、「インフラ長寿命化基本計画」を策定したのを受け、総務省は「公共施設等総合管理計画」を定めるよう全国の自治体に求めた。

ここで言う「公共施設等」は、コモノのほか、道路・橋梁など土木構造物、上下水道も含めた広い意味でのインフラのことだった。「基本計画」と同様、暮らしや経済に欠かせない社会基盤と、ハコモノを分けていなかったのである。

ところが、「公共施設等」をハコモノと土木インフラに自発的に分けて「管理計画」を作る自治体が現れたのである。

(中略)

「リポート」は、2つを一緒にした自治体を「オーソドックス」と位置付け、分けて考える自治体を「踏み込んだ方針」と評価した。

(中略)

「踏み込んだ」さいたま市の場合、ハコモノは「新規整備は原則として行わない」「施設の更新(建て替え)は複合施設とする」「施設総量(総床面積)を縮減する」―という3原則を掲げた。明らかな縮小方向である。

一方、土木インフラについては「現状の投資額(一般財源)を維持する」「ライフサイクルコストを縮減する」「効率的に新たなニーズに対応する」―という3原を打ち出した。拡大路線ではないが、ハコモノと土木インフラは違うという意識が明確に伺える。新たなニーズへの対応も明記した。

「リポート」は触れていないが、沖縄県も「『公共建築物(ハコモノ)』と『土木等施設(インフラ)』に区分する」としている。静岡県富士市はさらに「その他公共施設」(病院など)と細分化するほどだ。

ハコモノと土木インフラを一緒にして乱暴な議論をするメディアの方が遅れているのである。     (続く)

(全文は「橋梁通信」2019年5月15日号でご覧ください)