藤野陽三教授に学士院賞 土木構造でほぼ100年ぶり

藤野教授

日本学士院はこのほど、特に優れた業績を上げた研究者に贈る「日本学士院賞」に、藤野陽三・横浜国立大上席特別教授(69)ら9人を選んだ。土木分野の受賞は7人目。授賞式は6月に行われる。(下の写真と図、授賞理由説明の出典は日本学士院ホームページ)

藤野教授が受賞した研究題目は、「長大な構造物の振動現象の解明と制御」。

日本学士院は授賞の理由を、橋梁など巨大な構造物では地震や風などにより様々な振動が発生するが、藤野教授は「計測に基づき、いくつもの未知未聞の特殊な振動現象を発見し、原因を解明し、その対策につなげた」としている。

例えば、橋の微小な揺れが群集の同期歩行(床面が歩行方向に水平直角に周期的に動く時に歩行者の歩調がその周期に一致する現象)につながり、有意な振動に成長することを、画像技術を使って世界で初めて明らかにした。

ビデオ画像からの歩行者の動きの解析

また、振動制御の分野でも、同調液体ダンパー(容器内の自由表面を持つ液体の動揺を利用して構造物の振動を抑える装置)など新しい制御方式、同調質量ダンパー(バネと減衰器に支持された小さな質量を付加することで構造物の振動を抑える装置。構造物と同じ固有周期で運動する質量が振動を吸収する)や免震構造などの性能評価法を提案し、内外の長大な構造物で幅広く適用された。

振動計測を発展させ、既存構造物の状態監視技術につながる構造ヘルスモニタリング(構造物にセンサーを取り付け、それからの情報で構造物の状態を把握する)でもレーザー非接触方式などを開発。これら一連の成果を踏まえて「構造制御学」という新しい分野を確立させ、「世界的に主導してきた」としている。

藤野教授の話「日本学士院賞は,ノーベル賞をとられるような方に授与する賞。それをいただけるのはこの上なく嬉しい.40年研究をやってきて本当に良かったと感じている。109年の歴史の中で,物部先生ほか6人の方が受賞されていますが、土木構造の分野では物部先生以来,ほぼ100年ぶり。これも1980年代から始まった長大橋の建設の時代の中で研究を行えたおかげです。私にというよりは、わが国の橋梁界が受賞したと思って、皆さんと喜びを分かち合いたいと思います」