橋に魅せられて 東京都建設局 紅林章央さん

意匠で工夫できる 橋の特権

東京都の「橋梁構造専門課長」の2代目。本紙で「橋歩き」を連載する。

昨年末、日本橋梁建設協会の本部で開かれた「ブリッジトーク」で、珍しい橋や奇橋など300橋を紹介した。参加者からの質問に、静かな語り口で回答していた姿が印象に残る。

1959年東京・八王子生まれ。名工大卒業後に入都し、建設局西多摩建設事務所の工事二課橋梁設計係に配属。

「5年間、橋の設計を担当し、その魅力にのめり込むようになりました」

最初の仕事が、都下・檜原村のPCプレテンフォロー桁の新設。桁高を抑えるために高強度コンクリートを活用した。

「PC桁が山奥に運ばれ、架設される様を見て、その迫力に感動しました」

「南秋川橋」(RCアーチ橋)では、高欄の模様として、ヒノキや川魚などを自らデザイン。現在もその高欄が使われている。

奥多摩大橋(複合斜張橋)では道路線形を直営で手がけ、都で初めて風洞実験を行った。RC主塔にふっ素樹脂塗料を塗布して、防食性能を高めるなど様々な挑戦を形にした。

同橋の計画に関与したことが、日本各地の橋を見て歩くきっかけになった。最初は、最新の設計を勉強するためだったが、次第に戦前に架設された意匠に富んだ橋に関心が移る。いつしか「土木構造物で唯一、意匠で工夫できるのが橋の特権」と考えるようになった。

その後、多摩川中流部橋梁群の建設に関与。中でも鋼斜張橋の「是政橋(これまさばし)」は思い出深い。

Ⅰ期線は鋼床版箱桁橋だったが、Ⅱ期線ではコストを縮減するため、国内で初めて鋼・コンクリート合成床版+少数鈑桁橋を採用した。「斜張橋でも工夫することで、経済性を追求できることを実証した面白い仕事でした」。

新交通システムゆりかもめ建設を担当時に、全国の新交通システムを視察する傍ら橋めぐりに拍車がかかる。

国内外の6千を超える橋を見て、その思いを著書『橋を透して見た風景』、『東京の橋100選+100』(いずれも都政新報社刊)に凝縮した。59歳。

(道路建設部 橋梁構造専門家長)

※「橋梁通信」2019年6月15日号掲載