ケミカル工事 上面増厚床版剥離部補修システム 交通規制の必要なし 

上面増厚床版剥離部補修システムによる洗浄率

國川社長

コンクリート構造物に関する調査・診断・補修・補強の総合エンジニアリング会社「ケミカル工事」(神戸市、國川正勝社長)の新工法を紹介する。

高速道路などの床版の水平ひび割れ問題に対処するため、同社は西日本高速道路エンジニアリング関西と共同で、交通規制をしないで施工できる「上面増厚床版剥離(はくり)部補修システム」を開発。3月に開かれた橋守支援センター静岡の報告会で、事業統括本部プロジェクト推進部の神田利之課長が発表した。

劣化したRC床版の補強対策として、「上面増厚工法」(注1)が、15年ほど前から高速道路などで一般的に採用されてきた。

しかし、大型車輌による繰り返し荷重に加え、水平剥離離部に雨水等が浸入することで、既設床版と上面増厚部の間の

施工打継目部に水平ひび割れが発生している。

従来工法による洗浄率

従来は、舗装の上から削孔してエポキシ樹脂を注入する工法が行われてきた。報告会では、施工単価を比較し、床版取替工法で35万円/㎡、再上面増厚が15万円/㎡、上面増厚床版注入工法(上面から)3万円/㎡と、コストパフォーマンスの高さを示した。

しかし、交通規制を伴うため、高速道路の集中工事時に行わざるを得ないなどの制約がある。また、高圧ポンプで水を圧送するだけではひび割れ間の堆積物を除去しきれず、再劣化につながるなど、エポキシ樹脂注入の効果が疑問視されていた。

ケミカル工事が開発した工法は、床版の下面から削孔し、

スピンジェットノズルの噴射   イメージ

 

スピンジェットノズル(ウォータージェット工法)で円回転させて水平方向に高圧水を噴射するため、高い洗浄効果があるもの。すべての作業を床版下面から行うため、交通規制が必要ない。

神田課長

橋梁通信の取材に対し、神田課長は「水平ひび割れに対する床版補修工法は、堆積物をどれだけ除去できるかで、その後の耐久性に大きな違いが出る」と強調。「ウォータージェットを使用する分、上面から行う従来工法より施工費は高くなるが、交通規制の必要がないうえ、堆積物の除去率を高めることで耐久性に影響を与えることが、疲労やせん断試験などで証明されている」と話した。

昨年12月には、初めてNEXCO西日本管内の発注案件となった。NETISも申請しているという。

神田課長は「交通規制を行えない都市高速や重交通路線の水平ひび割れの補修工法として、今後、採用が増えることを期待する」と述べた。

同社は1974年の設立以来、高い技術力が評価され、構造物の老朽化問題を抱えるNEXCOはじめ、道路管理者と共同で数々の新技術を開発してきた。

(注1)コンクリート床版の補強工法。既設コンクリートの上面を切削し、鋼繊維補強コンクリートを打設、新旧コンクリートを一体化させて補強する。

※「橋梁通信」2019年6月1日号掲載