床版の新技術相次ぐ 東京製綱インターナショナル・オリエンタル白石「CFCCスラブ」 日之出水道機器「高性能鋳鉄床版」

床版の新技術開発が相次いでいる。東京製綱インターナショナル(東京都中央区、佐藤和則社長)とオリエンタル白石(東京都江東区、大野達也社長)は、炭素繊維複合材ケーブルを使い、厳しい塩害環境下で高い耐久性を確保するプレキャストPC床版「CFCCスラブ」を実橋への適用段階にした。また、日之出水道機器(福岡市博多区、浅井武社長)は、軽量化と長寿命化を図る「高性能鋳鉄床版」を実用化に近付けた。

【CFCCスラブ】

CFCCスラブは、道路橋示方書に規定される塩害への耐久性確保の「方法3(劣化の影響がないとみなせる材料の使用)」に相当する。塩害環境での床版かぶり厚の増加は必要ない。

従来は連続繊維の緊張材でもポストテンション方式の定着部は金属製だったが、同スラブは完成時に金属を残さない定着構造としている。

このため、耐久性確保の確実性やLCC低減の点から、海岸付近や凍結防止材の散布地域など、厳しい塩害環境下での活用が期待される。

また、同一床版厚のPC床版に比べて約6%の重量減、劣化因子の浸透が懸念される合成桁のずれ止め用孔や排水桝近くへの緊張材の配置が可能―などのメリットもある。

床版更新工事では、一般的な1方向PC床版に比べて、床版部の取替工程を15%程度短くできる。

ただ、全体工事費は13―22%程度の増加(塩害対策地域、橋長240mでの比較)になる。

疲労耐久性を確認する輪荷重走行試験では、耐用年数100年に相当する指標値の約300倍まで載荷しても、破壊に至らないことを確認。これで構造性に関する試験をすべて終え、実橋への適用段階になった。

両社は、「国内の鋼橋床版の新設・更新だけでなく、日本と同様にインフラの老朽化が問題になっている海外への展開も視野に、技術のブラッシュアップとコスト縮減に取り組む」としている。

 

 

【高性能鋳鉄床版】

日之出水道機器などは、大阪市立大学でのすべり試験、埼玉県にあるG&U技術研究センター等での定点載荷疲労・静的載荷・輪荷重走行の各試験を繰り返し実施。複雑な形状を一体成形できる製造法を確立した。

鋼材と異なり、溶接が不要の高い疲労特性を確認。コーナー部などの応力集中を増厚やR面取りで緩和できるようにした。

床版厚は、最適化を図る中で13mmを選定。こうして、RC床版(H29道路橋示方書、床版厚250mm、床版支間長3m)に比べ、最大6割の軽量化を図れた。

同社は、損傷したRC床版に替わる床版として活用するため、京都大学の渡邊英一名誉教授、大阪市大の山口隆司教授、阪神高速道路技術センター、成和リニューアルワークス、佐藤鉄工と共同で、床版取替工事を想定した施工研究を富山県にある佐藤鉄工の施設で実施。実大モデルでの試験で、施工性を確認した。床版が軽量化することで、既設の上・下部工の補強を最小限に抑制することもできた。

同社は今後も共同研究者と連携、球状黒鉛鋳鉄の特性を活かし、疲労耐久性に優れ、橋梁の耐震性を向上させる高性能鋳鉄床版の実用化に取り組むという。

九州工業大学・山口栄輝教授の話「鋳鉄床版は、鋳鉄品としてこれまでにない大きな幅厚比で、均質な材料特性を持つ床版パネルの鋳造が初期段階で大きな課題だったが、材料的に問題のない床版パネルの製作にこぎ着けた。荷重増に伴い、変形が弾性から弾塑性に移行し、十分なダクティリティーを有することも示せた。橋梁の安全・安心に貢献する日が来ることを願っている」

※「橋梁通信」2019年5月1日号掲載