橋に咲く 駒井ハルテック 吉田恵子さん
現場で光る 細やかな気遣い
「本日、当現場で4台の搬入車両があり、隣接工事では竣工検査もあって車両の出入りが増えます」。
福岡県大川市で事業中の「福岡208号大川高架橋上部工(A1-P4)工事」の現場。
朝礼で、駒井ハルテック・吉田恵子さんの声が響いた。

朝礼で「安全作業を」
初めて、現場代理人を務めている。
ある日の朝礼で、作業内容、安全事項、人員を確認した後、「KY(危険予知)の提出、ありがとうございます」。
ていねいなお礼も忘れない。
現場代理人として発する声に、はるか年上も交じる男性作業員たちが、真剣に聞き入った。

案全帯に新しい工具かけをベテランとび職が着けてくれた
朝礼後、熱中症対策のアメを3粒ずつ全員に配った。
40歳台のとび職は「細やかな気遣いがうれしい。忙しい時ほど、安全面を重視してくれる」。

デスク脇の作業目標。順番が 入れ替わったり、更新されたり
駒井ハルテック入社は、鹿児島大学の先輩との出会いがきっかけだった。
結婚、出産・育休を経た課長職。自信に満ちたしぐさ、仕事ぶりに魅力を感じた。
「こんな女性になりたい」。
入社から5年弱、橋梁設計部でもまれた。
仕事が進まず苦しい時は、尊敬する多くの先輩の姿を思い出す。
「皆さんも必死」。自然に力が湧いた。
今回は初めての工事担当。会社はベテランを監理技術者に配置してくれた。
手厚いバックアップ体制が、うれしい。

ラチェットでボルトを締め、防護柵の鉄パイプを補強する
地域の人たちとの交流を大切にしている。かつて山形県内の木橋が増水で流された時、復旧工事の設計に携わった。
「橋がなおることがうれしい。毎日渡っていたのだから」。
初老の男性の言葉に橋の役割を再認識した。
そして今。現場近くに住む年配女性と親しくなった。
工事への関心を深めてくれたという。
「設計図を一目見れば、工場で製作できるのか、現場架設かが分かる。そんな技術者を目指しています」。熊本県出身。
福岡208号大川高架橋上部工(A1-P4)工事 現場代理人
※「橋梁通信」2019年8月1日号掲載