首都高速の橋梁検査機 山口建設コンサルタントが活用へ

首都高技術(東京都港区、小笠原政文社長)が開発した橋梁検査機の有用性を確かめるデモが、7月17日、山口市内の井手ケ原橋で行われた。同橋は自転車歩行者専用道路内にあり、橋長144mの4径間連続鈑桁橋で、有効幅員2・5m。耐荷力や有効幅員から容易に点検車が進入できない。山口建設コンサルタント(山口市、井森浩規社長)の協力を得たデモで、これまで主に首都高速で使われてきた検査機が地方の狭小橋でも機能を発揮することが確認された。

打検機でRC床版をたたいて点検

デモが行われた検査機は、簡易型高所点検用の「打音検査システム」(打検機)と「ポールカメラ」。ポールの先端に取り付ける機器を取り替え、打検機とポールカメラを使い分ける。軽量で、最大8m高の検査が可能。高架下の状況が悪く吊足場などを設置できない場所や、点検車のバケットが進入できない狭あい部などの点検に適している。

ポールカメラでデッキプレートの腐食を確認

井手ケ原橋は地上から床版下面までの高さが4m以上あり、端部RC床版や床版下面の鋼製デッキプレート、主桁の上フランジなどを点検するには、吊足場の設置、または、はしごでのアプローチしかなかった。時間と費用がかかるうえ、橋の下の樹木伐採なども必要。はしごでのアプローチは安全性も懸念された。

そこで、2014年度からの5年間に県内自治体が管理する約500橋の点検を受託していた同社は、首都高グループの検査機に着目。2巡目点検に向け、どんな構造の橋なら検査機の有用性が高まるか、確認するのがデモの目的だった。

デモではRC床版に打検機を接着し、たたき点検を実施。浮きの有無の音の違いは、デモ参加者に明確に聞き取れた。鋼製デッキプレートや主桁上フランジの腐食確認はポールカメラで近接撮影、記録した。

有用性を確認後の協議では、「首都高速では8m高が必須だが、地方の橋は半分で十分」「短いと軽量化が図れる」「今は2人工での運用だが、軽いと1人工で済む」などの話が出た。

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デモに参加したのは、首都高技術の永田佳文部長(53)と紺野康二係長(39)、山口建設コンサルタントの西本忠章次長(45)、福島央樹課長(56)、木村貴則主任(28)の5人。

デモに参加した人たち

福島課長は「点検車で近接して詳細点検した後も、補修時に桁端部を仮受けする際の詳細な図面を書くには、もう少し詳しく現地を見たい、見落としを補完したいーといったことが度々」という。だから、「この検査機がニーズに応えられる」と。

西本次長は「私たちのような地場コンサルは日常の業務が多岐にわたり、新技術の開発に時間と労力を割けない。国内の橋で最もハイスペックな首都高速で有用性が確認された検査機は、信頼性が高く、効率と品質が担保される。積極的に活用したい」と話した。

首都高技術は現在、検査機10セットを管理者、企業に貸し出している。販売すれば利益は大きいが、それは望まなかった。永田部長はその理由を「優れた技術はシェアすれば良い。全国のインフラの維持管理に貢献できれば、うれしい」と説明した。

紺野係長は、検査機の全国展開を視野に入れている。最近も自治体の要望を受け、バッテリーの寿命を3日持つものに変更したばかりだ。

「首都高技術は、試行錯誤する実現場に恵まれている。自治体や地方コンサルの意見を聞いて、使い勝手がさらに良くなるよう改良を重ねたい」と話した。

※「橋梁通信」2019年8月1日号掲載