橋のたわみ 簡便に計測 浜松市 TTES社「インテグラル」で

静岡県・浜松市は、岐阜大学、TTES(東京都目黒区、菅沼久忠社長)と協力し、道路橋のたわみを簡便に測定、健全度を調べる実証実験を進めている。計測では、同社が開発した加速度センサ「インテグラル(INTEGRAL)」を使用。産学官の連携で橋の維持管理の効率化を目指す取り組みとして注目される。

調査は、同市土木部がフィールドとして管理橋を提供し、同大学(木下幸治准教授)と同社が計測・調査・分析を行う。

道路橋の地覆部や高欄部にインテグラルを設置、重量8tの荷重車(試験車両)を通過させ、橋のたわみ情報を収集。取得した情報(たわみ値の変位等)を分析して、橋の健全度を評価する。

昨年2月に第1回を実施し、今年7月が2回目。対象橋の経時的な変化を確認するため、前回調査40橋のうち29橋で再度、たわみを計測した。

経験が少ない大学院生の加藤瑳那子さんも容易に加速度センサを設置

たわみを測るには通常、準備と計測を含めて1橋に数日を要し、足場も必要。しかし、インテグラルを活用すると1橋15~20分で計測が可能になる。

加速度センサ。有線通信方式(手前)とIoT端末

荷重車の通過時、橋面の作業でたわみを簡易に効率良く計測できる点も特徴の1つ。これまで同市以外でも、富山や沖縄など全国200橋余りで活用された。

インテグラルは、有線通信方式とIoT端末の2種類を使用した。

有線通信方式は、データロガー(記録装置)に接続し、計測中の波形をPCで確認しながら計測を実施する。

IoT端末の寸法は、75mm×125mm×75mm。ボタン1つの操作で、設置位置での荷重車通過時の加速度を計測し、取得したデータを自動でクラウドにアップロードする機能を持つ。

有線通信方式の計測機器での設定・計測作業を簡易化し、計測経験の少ない作業者でも利用が可能な点が最大の特徴だ。

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7月31日朝、浜松市内の公園にTTESの比山義朗さん(46)と勝山真規さん(39)、梅川雄太郎さん(29)、岐阜大学大学院生・加藤瑳那子さん(23)、荷重車を提供する杉浦金属(浜松市南区、杉浦秀明社長)の安藤利幸さん(56)・松島文孝さん(49)が集まった。

比山さんを中心に指差し確認(写真左)後、最初の現場・滝道橋(橋長17・1m、幅員10・7m、3経間PC床版橋)へ。同橋では、梅川さんと加藤さんがセンサを設置。加藤さんは「経験の少ない私でも簡単にたわみを計測できる。点検・調査業務の広がりを感じます」。

設置完了後、荷重車が時速30kmで通過。データ・波形の取得を確認すると、荷重車は次の現場に移動し、午前中に計10橋で作業を終える速やかさだった。

梅川さんは「土木分野で先進的なIoT活用に関われ、やりがいがある」と話した。

※「橋梁通信」2019年8月15日号掲載