40年間も健全塗膜を保つ 日東通商「ガードペイント」 庄子哲雄教授が調査始める 千葉・千倉海岸で

高純度シリコーン塗料「ガードペイント」(NETIS登録HK-190003-A)は、塗料暴露試験の適地とされる千葉県南房総市の千倉海岸(注2)で、40年にわたって健全性を持続している。その原理を解明しようと、材料劣化計測の権威である東北大学・未来科学技術共同研究センターの庄子哲雄教授(注3)が調査を始めた。Rc―Ⅰ塗装系でも健全な塗膜の持続は25年程度とされる中、様々な発展性を秘めた研究の行方が注目される。

調査に当たる庄子教授(右から2人目)。右端は長社長

この調査は、ガードペイントの商標を持つ日東通商(東京都中央区、長信次郎社長)との共同研究。

同社は1979年、千倉の漁協の魚貝類畜養場のH形鋼支柱にガードペイントを3層塗りした。これまで無補修で健全塗膜を維持している。

17年の状況調査では、表面にホコリ、塩分が付着して白色化していたものの、ウエスで容易にふき取れた。

調査はこうした高耐久の原理を解明するもので、庄子教授は今年5月、3層塗りを鋼材素面から1層ずつ慎重にはがした。

そして、各層ごとに分けてレーザーラマン分光器で電気インピーダンスを測定、塗膜の健全性を調べた。

この塗料は、高純度シリコーン特有の強力なシロキサン結合エネルギーとシリコーンオイルにより、強靭な浸潤機能を持つ。同社は「橋梁など鋼構造物の新設の際に黒皮ごと環境遮断できる可能性がある」としている。

今後1年半をかけ、千倉の既設のほか新設塗装の硬化挙動も調べ、健全持続の原理を究明することにしている。

庄子教授は「鋼材と塗料の界面で、どのような現象が起きているのか。既設・新設それぞれの塗装断面を見て、究めたい」と話している。

 

注1 ケイ素(Si)と酸素(O)を多く含む石英を金属ケイ素に還元したのがシリコン。これに複雑な化学反応を加えることで生まれる合成樹脂がシリコーン。耐久性に優れ、防水・防サビのほか、多様な製品の原料となる可能性を秘めている。

注2 房総半島の南端。日夜、潮風が吹きさらし、日本で最も腐食環境が厳しい場所の1つであるととから、塗料暴露試験の適地として知られ、大手塗料会社などが長年、試験を続けている。

注3 材料力学や金属物性の権威。中国・四川大学で先端的人材の育成に努め、フランスやフィンランドの大学ともつながりを持つ。日本工学アカデミー会員で、文科大臣科学技術賞受賞者。

※「橋梁通信」2019年9月1日号掲載