橋に魅せられて 特殊高所技術 和田聖司さん

つながり大切に「特殊高所技術」を普及

以前から公言してきた幾つかの構想を形にした「有言実行」の人という印象が強い。

特殊高所技術」の普及と標準化を図ること。そして、この技術を正しく運用する同業他社の育成や、資格制度を創設すること――などだった。

2007年に創業。高強度のロープやハーネス、特殊高所機材と呼ばれる装備品を用いることで、重機や仮設足場を使うことなく、近接が困難な箇所と言われる場所へ、安全に近付ける技術を確立し、今も日々進化させている。

主な業務は、橋梁、風車など構造物の点検・調査・補修。売上の7割を占める橋梁分野では、5年に1度の定期点検、高速道路橋の鋼床版の調査、橋脚やアンカレイジなどコンクリート構造物の詳細調査などで豊富な実績を誇る。

「年々増える仕事量。自社の利益ではなく、技術の広がりを優先すべき」

この間、数人の社員を独立させ、希望する会社に技術・ノウハウを伝授するなど担い手を増やし、5年前には一般社団法人・特殊高所技術協会を設立。

協会は短期間で、法人会員31団体、個人会員170人を超える規模に拡大した。資格認証制度を整備し、有資格者への講習会も継続的に実施している。今夏には、管理者向け講習会を各地で開いた。

某地方整備局管内の鉄道跨線橋での点検業務が忘れられない。き電停止の短時間内に作業を終え、国土交通省の職員が「あなたたちは、我々の切り札」と最大限の賛辞を送ってくれた。

「客先の要望に応えられたのだ」。この喜びを各所で積み重ねてきたことが、今につながったと感謝している。

「現在は月1回、全現場を止めて安全研修を行っている。安全意識のさらなる向上に資する点が大きなプラス」

今年6月、創業12周年を記念した祝賀会で、84人の社員と記念撮影に収まった。「人と人とのつながりを大切にし、携わるすべての人たちと、ともに幸せになる未来を作ろう」との呼びかけに、皆がうなずいた。

京都市生まれ。47歳。

(社長)

※「橋梁通信」2019年9月1日号掲載