橋に魅せられて 酒井工業 仲辻浩一さん

 魅せられて 今は技術で魅せて

「うるさい人」には、幾つかの意味があるようだ。

素朴な意味では、それを理由に敬遠されることもあるらしい。確かに、相手が発注者でも、コンサルタントでも、著名な先生でも、間違っていると思えば一歩も引かない姿を目撃したことがある。「相手を持ち上げる」とか「根回し」とかは大嫌いだと、聞かされたこともある。

仕事を受注後は、設計図面を信頼してないようだ。実測調査、現況寸法の確認をして、施工計画を立てる。設計書通りに施工できない箇所を見つければ、設計変更の依頼にちゅうちょはない。

だからなのか、業界では「橋梁メンテナンスの技術力の高さでは右に出る者はない」とまで評される。「うるさい人」には「プロ」という意味もあるようだ。

スーパーゼネコンで働き、ほとんど家に帰らなかったという父親の背中を見て(?)育った。高校で成績は悪くはなかったが、「お金に魅せられて」、大学進学はしないで働き出した。複数の職種を経て、下請けの橋梁補修会社を営んだのが20歳の頃。それから、「魅せられて」のジュディ・オングとお金と橋に魅せられ、一生懸命に歩んできた。

取引先だった酒井工業が民事再生に入ったと聞き、実質的な経営権を買い取ったのが2005年。それからは元請けとして、長い経営者経験を生かして業績を伸ばしてきた。

年間20件程度、これまで500件の実績を持つ。手掛けた代表的な橋は、左門橋、福住大橋など。今は泉大津大橋の補強工事も行っている。

工事を熟知しているだけではない。常に創意工夫し、安全で手間の少ない施工法を考えているという。実際、施工の材料や道具などで、多くの特許を取った。

本店の壁には、何枚もの賞状が並ぶ。14年から4年連続で国土交通省から贈られた「工事成績優秀企業認定書」や、数々の表彰が、発注者の高い評価と信頼を物語っている。

両親と子供3人の7人家族。余部鉄橋など、補修工事に携わった橋梁を訪ねる家族旅行も度々。仕事も家族も「少々」大切にする51歳。兵庫県出身。

(社長)

※「橋梁通信」2019年10月15日号掲載