橋に魅せられて 北川鉄工所 野島昌芳さん

橋梁用クレーン 撤退から拡大へ

「他社のクレーンは大きくて、ケーブルと干渉してしまう」。顧客はそう話を持ち掛けてきた。

初めて責任者を務めたクレーンは、広島空港大橋(愛称・広島スカイアーチ、2011年完成)。最深190mの谷を渡る。北川鉄工所の製品は、上部工架設用のトラベラークレーンは軽量を売りとし、橋脚構築用のタワークレーンも「シンプル・軽量・コンパクト」だと。

大型の商談ではあったが、事業部の方針は「長大橋の建設が減ってきており、橋梁事業など大型特殊物件から撤退する」。そこであきらず、役員に直談判し、ユーザーや営業にも働きかけ、実現させた。大橋は土木学会田中賞を受賞した。「その時に商談をまとめていただいた営業課長が、栗本和昌・現サンテック社長です」。

故郷・広島の広島工業大学を1988年に卒業して入社。すぐ明石海峡大橋のバッチャー船に参加し、その後は建築用タワークレーンの設計をメーンに、架設が難しい長大橋のクレーン設計にも携わってきた。

現在は撤退方針が転換され、改めて橋梁に注力することになった。「本四架橋など特殊物件を知る人間が社内にいるうちに技術を継承でき、良かった」と安どする。昨年から新たな技術や事業を追求する立場になり、東京に単身赴任。タワークレーンは今も年に1機種は新設計し、市場に投入。海外への展開も模索している。

今年5月には、日本建設業連合会が開いたゼネコンとのBIM意見交換会にクレーンメーカーを代表して出席した。土木学会などで構成する建設ロボット研究連絡協議会で発表し、建設機械の専門雑誌から論文を求められと、社外でも多忙だ。

趣味はスキー、テニス、ゴルフなど幅広い。どれも腕は「そこそこ」。音楽はロックで、スピーカーとアンプは手作りだ。車はオープンカー。保安基準の範囲内で改造して乗る。

教員の妻、子供と一緒に毎年行く海外旅行が楽しみ。55歳。

(北川鉄工所 サンテック EG(エンジニアリング)統括部 EG推進室 課長)

※「橋梁通信」2019年11月1日号掲載