橋に魅せられて 補修技術設計 中馬勝己さん

新ソフトを販売、3次元納品に一石を

橋梁の調査で現地に赴くと、若手社員に点検ロボットや、ドローンなど新技術の操作方法を細かく教えている。経験や技術力が求められる業務では、社員と共に箱桁の中に入り、作業着を真っ黒にして調査にあたった。

一方、事務所では、自社ソフト開発担当者に、複数の目標を具体的に指示していた。生産性を向上できるソフトをいかに形にするか。頭を悩ませる。

丁寧な指導を心がけるのは、1人でも多くの社員が1流のエンジニアに育ってほしいとの親心からだろう。

愛知県豊川市生まれ。高専を卒業後、ショーボンド建設に入社し、伸縮装置の取替、下部工の縁端拡幅、床版の鋼板接着など橋梁の補修・補強設計を担当した。

入社後3年、橋梁構造を初歩から学ぶため、名古屋市の設計コンサルに転職する。約3年、吊橋以外の新設設計を体得してから、古巣に戻った。「補修・補強は、アイデアを形にできるため、面白さを感じていたから」だった。

2005年、さらなるやりがいを求めて独立。

しかし、現場では、耐震補強工事に伴うコンクリート削孔箇所の計測が、20年前の新人時代と同じトレース作業で行われ、全く変わっていなかったことに衝撃を受ける。そこで、画像診断支援ソフト・ニコン製GS‐1を導入し、削孔した孔の描画の計測に転用した。「正確に、しかも作業者の負担を軽減して計測できた」と振り返る。

12年秋には、3次元レーザースキャナ―を導入。400を超える橋梁の点群データを取得し、細部の損傷状況を、事務所に居ながら把握できるまでになった。

今年4月、蓄積してきたノウハウを詰め込んだ維持管理ソフト「Arena4D  DataStudio‐J」の販売を開始した。ソフトは、取得した3次元データをそのまま成果品として提出でき、干渉チェックや経年劣化がひと目でわかる仕組みになった。「多くの3次元ソフトが開発されたが、納品時には2次元での提出を求められるのが現状。これでは一向に、生産性向上につながらない」と指摘。「当社開発ソフトで、成果品の提出方法に一石を投じたい」と話す。55歳。                                                                            (社長)

※「橋梁通信」2020年4月15日号掲載