CBCテレビ放映 牛若 ③ 「橋に咲く」とのコラボ企画

デーロス・ジャパン 寺田智子さん

子供たちの笑顔に 「良い仕事」

金沢の街に粉雪が舞っていた。昨年末に行われた橋の補修工事の現場。「アルマグ溶射工法」を使った支承の防錆作業を見守る。ヘルメットから流れる長い髪にも白さが目立っていった。

「牛若」撮影のカメラを向けられると、「小さい頃から将来の夢は現場監督」。この街で生まれ育った。「あれもこれも、おっちゃんが造ったんやで」。ゼネコンに勤める叔父の自慢話を聞くのが好きだった。

石川高専で、技術者として知られた三ツ木幸子さんの教授時代の教え子。卒業後は地元の建設会社を経て、補修専門のデーロス・ジャパンに転職した。「橋を守ることが大事だと思って」。

ある橋の伸縮装置取り替えが印象深い。現場代理人と主任技術者を兼ねた。車・歩道共に50年前のフィンガージョイント。車道部は最新のゴム製に交換できたが、歩道部の舗装下に下水管と消雪管が埋設されていた。

「設計書通りに交換できない」。しかも、2つの管ともに箱抜き構造。そこに水が滞留することは、劣化要因の1つだ。

森井直治社長の口癖が胸に迫った。「橋は先輩技術者が丹精込めて、苦労を重ねて造った。少しでも長持ちさせる工夫を」。

上司や先輩を交えて、施工法を繰り返し検討。自社工法の「アルマグ溶射を応用したハイブリッドALMg溶射工法」で伸縮装置を再生させ、箱抜き部は特注した透明な樹脂を充てんした。

箱抜き部は常時、点検できるよう、鉄ぶたで閉じてある。「あの樹脂、大丈夫かな」。思い立って鉄ぶたを空けたら、笑顔の子供たちが橋を渡って行った。「これほど良い仕事はない」。そんな思いが自然と浮かんできた。

「橋梁通信」2021年4月1日号掲載